「編集長ー。なんでみかんまであるのに、こたつがここにはないのですか?」

そういや、あーさんが編集部にくるようになったのは温かくなってきてからだから、冬の時期のこの部屋というのははじめてなのかとふと思いながら、机の上のみかんをもくもくと食べる。

……編集部とは言っても、自宅の私個人の部屋なのだけども。

暖房関係がない訳ではなく、部屋にはファンヒーター。石油価格の高騰による灯油の値上がりでどうしようかとは思ってはいるものの、暖まりの早さからするとやっぱりこれが一番。

「そういえば、中央公園もクリスマスのツリーみたいなライトアップが始まってましたね…。」
「え、そうなの?もう?」

……ちなみに、後者の発言の方が私。前者がフネさんだ。

「……もう12月ですよ?取材とかするつもりだったら、いい加減はじめないとすぐに年を越しちゃうんですから!」

ごもっともである。でも、寒いから嫌だ。そうこういっているうちにかごの中のみかんがからになったので一応言っておくけど、確かに愛媛はみかんが有名だけど、新居浜に関しては工場に勤務する為に住まいを構えている人も多く、必ずしもどこの家にもこの時期みかんがある訳じゃないらしい。いや、他人様のお家のみかん在庫を確認した訳ではないので判らないけど。

「あー……。どうせならPhoto Sphereとかやりたいねぇ……。ソフトとか機材揃ってないけど。」
「そうですねぇ……。でも編集長は気をつけないと……。」

なんの事かよくわからないので、Googleのヘルプを開く。当然ながらワンショットで360度画像を撮影できる訳でもなく、地点を固定してぐるぐると回転する事になる。通常は5回くらい。

「あのおじさん、なんかぐるぐるまわってるよー?」
「しっ!近づいちゃいけません!」

……なんか聞こえて聞こえてきたような気がします。まあ、通りがかった時に普通の写真をワンショット撮っておくか……。

(この記事は、「ライトなラノベコンテスト」に参加したものの締め切りに間に合わなかったものを転載しています。)